生活保護、家族扶養の強化 セクマイとして考えること

【朝日新聞 2013.11.7(木)生活面】

 現在の国会に提出された生活保護法改正案。生活保護を受ける人の家族に扶養を求める手続きを強化する内容が含まれています。ただ、家族の関係は人それぞれ違う。性的マイノリティの場合、セクシュアリティの受容をめぐって家族と軋轢を生じたり疎遠にしている事例もけっして少なくありません。
 私たち自身が保護を受けざるをえなくなった場合、そして離れて暮らす親が保護を受けることになった場合、私たちが考えておくべきことがあるでしょうか。


 この日の記事には、幼いころ別れた父が生活保護を受けることになり、その扶養照会が自治体から届いた男性の話が紹介されていました。父は男性が小学3年生のとき、目の前で母を刺殺、服役。男性と弟は養護施設で育った経歴をもっています(以後、父とは会わず)。照会してきた自治体職員はそこまでの事実は知りませんでした。男性は法改正により扶養調査が強化され、勤務先にまで連絡が来るのではと心配しています。
 
 たしかに民法では親族の扶養義務を定め、人気芸人の母が生活保護を受けていた話題も記憶に新しい。扶養や法改正をめぐって、新聞に述べられていたことをメモします。

 扶養義務とは言うが、強い扶養義務を負うのは夫婦間と未成熟の子に対する親。それ以外は余裕があれば援助すればよいとされている。
 生保を申請すると自治体は家族に扶養意思の有無を照会する(手紙)。ただし、申請者がDVを受けている(DVの加害者に照会することになる)、20年以上音信不通、などでは調査しなくてもよいと厚労省は定めている。
 しかし、自治体の現場は人手不足で、個々の事情を調査せず機械的に照会の手紙を送る可能性もある(上記の男性の例)。
 扶養すべき人が扶養しないからといって生保が受給できないということはない。ただ、法改正が成立すると、扶養を断った場合、福祉事務所がその理由の報告を求めることができる。また受給が決まると、家族に保護開始の通知をする(家族に知られず受給ができない)。
 この通知は、経済力があり申請者との関係もよいのに援助を断ったケースに限ると、厚労省保護課は説明するが、実施する自治体間では解釈がばらばらになる恐れがある。
 「親族間のあつれきを恐れて、必要なのに申請をしない人が増える」と懸念。(日弁連声明)
 自立生活をする障害者にとって、生保が必要なのに、逆風になる。(障害者団体)
 生保家庭の子や若者が、成人後に親の扶養を求められ、いつまでも貧困から抜け出せない。(生保家庭の子や若者の支援NPO)

 自分が生保を受給したい場合、ただでさえ軋轢のある親族に知られるのを恐れて申請しない……。あるいは、親が生保を受給する場合、子として扶養したくない理由を答えられるか……(「私は同性愛で軋轢を生じ、親とは絶縁している」など)。
「家族は助け合うものだ」の建て前のまえで、でも、ちょっと待って……と言いたい法改正のニュースです。

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