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公正証書遺言、災害にそなえてデジタルでも保存

【朝日新聞 2013.10.31(木)夕刊】

 公証役場で作った公正証書をデジタル保存する取り組みが東京、横浜、大阪、名古屋で7月から始まっており、来年4月からは全国に広げる、という記事がありました。スキャナで読み取った証書は、西日本の山間にある安全なサーバーに保管されます。
 東日本大震災で被災した公証役場で、保管中の証書が津波で流されたり間一髪で金庫が難を逃れたりしたという経験から、デジタルでも二重保存する必要が認識されたとのことです。


 今回の記事をきっかけに、公証人や公正証書遺言について、ちょっとお話します。
 公証人は明治19年に、フランスの制度をまねて導入された制度。私人が述べた内容を法律的に整った書面にしたり(それが公正証書)、私人が作った文書(たとえば会社の定款など)を「認証」したりするのがお仕事です。公正証書は裁判でも証拠能力が高く(勝手に作った借用書と比べればわかりますね)、また相手が契約内容を履行しないときは原則、裁判判決を得なくても強制執行(差押えなど)をすることができます(強制執行認諾約款)。
 公証人は、裁判官や検事のOBから、法務大臣が任命(試験等の選考を経て)する「公務員」です。ただ、国から給料は出ず、文書作成などの報酬を収入とし事務所を運営する独立採算制をとっています。その事務所が公証役場です。

 さて、公証人は依頼者の希望にもとづいて遺言状も作ることができ、それが公正証書遺言です。遺言は自分でも書け、もちろん効力がありますが(自筆証書遺言)、内容が不正確になったり、また死後に裁判所で「検認」(遺言状がホンモノであることの確認のような手続き)を受けないといけません。自分で保管しておくので紛失や発見されないという恐れもあり。
 一方、公証人に作ってもらった公正証書遺言は、

 法律家が作るので内容的に正確
 あとで遺族間で揉めても、証拠能力が高い
 裁判所での検認が不要
 原本が公証役場に保管され(本人が125歳まで保管)紛失の恐れがない。遺族から遺言の有無の照会もできる。(今回の記事は、これにデジタル保存も加え、二重保存をする、というもの。)

 などのメリットがあります。なお、デメリットとしては、

 当然、費用がかかる(基本料と、遺産の額や相続人の数で変動。自筆証書ならタダ)
 証人が2人必要
 公証役場が営業中の平日昼間に何度か通う必要あり

 ということで、行政書士など専門家が仲介して(その分、よけいに費用はかかりますが)作成することもあります(公証役場は作成当日一回だけ行く、など)。
 同性パートナー間では、法律上の配偶者のように自動的に相続が起こりませんので、パートナーに渡したい(遺贈といいます)と思う場合は、遺言を作成しておくことが必要です。
 この人と最期まで添い遂げそうだなという年数を重ね、また然るべき年齢になったときは、公正証書遺言の作成を検討してはいかがでしょうか。
 
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