さきに紹介した、3人のインタビューによる「遠くの親をみる」特集。2人目の天本宏さんという精神科医のかた(70歳)も、96歳のお母さんの介護をしに、月一度、多摩市から広島に通う生活を続けています。施設に入れたり、東京へ引き取りをしないのは、ご本人が自宅を望んでいるから、と。本人のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)が優先で、そのため子が死に目に会えなくてもしかたない、と。
3人目の元日テレアナウンサーの石川牧子さんも、足掛け13年、東京と仙台を往復して両親の遠距離介護をしたそうです。石川さんは最後に提案しています。「航空会社にはありますが、JRも遠距離介護の割引キップを導入できませんか」と。これはナルホドです。親の周囲のサポート体制は探せば構築できるでしょうが、自分の交通費は自分でなんとかするしかないのです。
最後に、天本さんの話でもう一つ、ハッとさせられたのは、QOS(クオリティ・オブ・ソサエティ、社会の質)という言葉です。たとえばスーパーの従業員に研修を受けてもらい、軽い認知症のお年寄りがうっかり代金を払わず店を出ても冷静な対応をしてもらう、自宅と間違って店に来た老人もただ追い払うだけでなく、家族に連絡してもらう、などの対策が、超高齢社会で認知症者も増えるこれからの時代に必要ではないか。QOS、社会の質を高める活動を、と呼びかけています。
この「社会の質」という言葉。社会が性的マイノリティにどう「冷静」に、あるいは当たり前に対応できるか、ということを連想しました。いい言葉を教わったな、ウチらでもおんなじ話だな、と思ったインタでした。
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