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親の介護に縛られる娘たち 

【朝日新聞 2013.7.18】

 21日、参議院選挙の投開票が終わり、新しい選良の顔ぶれが確定しました。あの人の当選、あの人の落選、そして議会を去る人……。新聞の当選者一覧を見る私にも、さまざまな思いが去来します。
 衆院が解散されないかぎり、今後3年は国政選挙はない模様。ここで確定した衆参の勢力図でこの国のこれからの舵取りが進められていきます。ともかくこの人たちに託すことを、この国の人びとの「総意」として選択したわけです。

 で、先週の新聞紙面も、選挙関連の記事(と高校野球の記事)で埋められています。新聞の2面や3面に載る各党の公約比較とはひと味違う選挙関連記事が、生活面や都民面には載っていました。
 そこから、親の介護に悩む女性の姿を追った記事を紹介します。


 離婚して戻った実家で、若年性認知症の母を介護する娘。5年間奮闘したが、母の妄想や暴言は厳しさを増し、ついに母をグループホームへ。
 あるいは、重度の知的障害のある弟を世話する母が倒れ、その母と、もちろん弟も介護する女性。しかも、最近はそこに祖母の認知症も進む……。使える制度はすべて使っても、働きながらの3人の介護は並大抵ではなく、毎朝、3人の身支度に2時間半かかる。
 どちらの女性も、恋人ができた時期があってもデート中に母を預けたデイサービスの職員の電話が入ったり、デート中も途中で介護の食事作りに帰るなどして、結局、恋人とは別れることに。
 これは極端な例なのでしょうか? それとも超高齢社会のなか、多くの人が介護のために自分の恋愛や暮らしも犠牲にして、追い込まれている、それこそが「実態」なのでしょうか。

 いま、介護財政も逼迫するなか、「施設から在宅へ」が行政の流れです。自宅で、家族であるあなたが介護してください、と。
 そこに輪をかけて、「家族の介護は家族で」や、生活保護バッシングに見られたように「家族で扶助しろ、それが当たり前だ」という圧力が強まりつつあります。ある政党が発表した憲法改正案では「家族は助け合わなければならない」の一文も入り、選挙公約にも盛り込まれた……。

 記事には識者のコメントとして、
「家族の相互扶助をうたうことで社会保障費が削られようとしている」(辻村みよ子・明治大法科大学院教授、ジェンダー法学)
「介護保険の創設でプロを活用すると変わったはずだが、いま、子や孫に負担が移り、仕事を辞める人までいる。国は家族間の愛情を利用するべきではない」(介護問題に詳しい作家の沖藤典子さん)
 いずれも本当にもっともな意見です。

 記事でも紹介されていた女性の姿は、見かけ「単身」をいいことに親の介護を期待されるレズビアンや、おなじくゲイの姿と重なります。「家族で看るのが当たり前だ」の声の高まりのなかで、親の介護のために仕事を辞め実家に帰り、恋人とも別れる自分を想像してください。

 では、介護体制はどうするのか? そのための財源はどうするのか? 残念ながらこの記事ではそのことは触れられていないのですが……。

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