これから「町内会」の時代になる、かも?

【朝日新聞 2013.7.7(都民版)】

 先日、ある40代ゲイ(パートナーと同居)のかたとお話してて、彼がオモシロいことを言いました。
「自分、できたら都内のなるべく古い町に越して、地域の地元活動に加わりたい。はじめは男二人で住んでるヘンな人って見られるだろうけど、道で会ったらあいさつすることから始めて。そしてだんだん、〈あそこの家、男二人で暮らしてるけど、別に普通の人らみたいだし、町内の掃除もちゃんとするし……〉と認識されて、そしてお祭りでも会合でも参加していけたらと思う。それが自分らが高齢者になっても暮らしていくセーフティーネットになる。地震で周囲が倒壊しても、〈あの男二人の人の家、大丈夫か? 避難所に見当たらないけど、掘り出しに行ってあげよう!〉ってなったら(笑)」
 こういう話をゲイの口から聞くことは、私は珍しい体験でした。


 さて、この日の都民版の記事は、福祉や防犯など多様化した市民ニーズを、お役所ではなく、市町村より小さい単位の住民自治組織が担いはじめており、その母体としての自治協議会などの組織や動きを紹介していました。
 長野市内の篠ノ井地区の「住民自治協議会」は、1回600円の利用券で通院の送迎をする福祉タクシーを運営。月250回出動し、年間3千人が利用といいます(高齢一人暮らしに加え、過疎地でバスも走ってないのでしょう)。協議会と長野市が協定を結んで、いろいろな事業を市から受託して(補助金を受ける)、住民本位のサービスを提供しているそう。
 はじめは行政の仕事の押し付けか、と不満だった住民も、今はできることは住民が助け合うのが当たり前になった、といいます。

 いま、地方自治法には、「地域自治区」という規定があり、市町村の仕事を分掌させ、地域の住民の意見を反映させつつこれを行なうことができるとされています。
 私たちはなんでも「そんなの行政にやらせたらいい」と思うものですが、「お任せ」では税金ばかりムダにかかってニーズに対応できない大味な行政になるようで、地域自治区やその運営機関である地域協議会が注目を浴びているわけです。
 しかもそれは行政の下請けではなく、「地域が新たな公共の担い手となる」という理念に基づくもの。市役所など上部の行政は、それを支援し協力するのが役目とか。

 明治以来、150年をかけて、村落共同体を解体してより大きな自治体に編成し、上位下達、中央集権にしていった流れを逆流して、いままた地域共同体を基礎にしていこうという動きに向かっているのかもしれません。それが、超高齢化と多様なニーズがせめぎあう生活世界を支える最後の道として……。

 阪神大震災のとき、これからはNPOの時代だ、ボランティア元年だと言われ、NPOという、会社でもない役所でもない運営体が注目されました。
 この記事にいう住民自治協議会は、町内会がNPO化したようなものです。
 
 予言するわけではないですが、これから「町内会」の時代になるのかもしれません。そして、それは私たちの老後とそのまま重なるのです。
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