同性婚から読み返す、社会保険「130万円の壁」

【朝日新聞 2013.6.29(土曜版)】

 これまた土曜版の記事から。
 社会保険にくわしいフリーライターの早川幸子さんの連載「お金のミカタ」で、健康保険(社会保険)のいわゆる「130万円の壁」について紹介しています。
 会社員の夫をもつ妻は、妻本人の年収が130万未満で1週間の労働時間が30時間未満なら、保険料なしで夫の会社の健康保険を使うことができるーーこれが130万の壁です(妻の保険にたいして専業主夫でも可能です)。
 自営業の夫婦なら、それぞれが国民健康保険に入って保険料も払うのにたいし、会社員の配偶者はことほどさように優遇されている、という例の一つです。


 この記事で私が今回はじめて知ったのは、この130万という額、時代によってけっこう変わってきたということです。1977年に70万円未満という基準で始まったこの額は、何度かの改定のたびに、勤労者の平均世帯収入の伸びに応じてだんだん増額されて、93年4月に130万未満になりました。ところが、その後、勤労者の世帯収入がマイナスに転じたにもかかわらず、130万未満のままに据え置かれて現在に至っています。
 年収130万未満の妻といえば、おおかたはいわゆるパート主婦。本来ならパート主婦もパート先で社会保険に入れて、その保険料の半分はそのパート先の会社が負担するべきなのに、130万と高く据え置かれているおかげで夫の会社の健康保険にお任せできる(それだけ夫の会社の保険財政のお荷物ともいえる)……。医療費を、どこで、だれが、どう負担するのか、いろいろ複雑な問題をはらむのが、この「130万の壁」というやつです。

 さて、ここまでルル説明してきたのはなぜか?
「同性カップルは異性カップルに比べて差別されている。たとえば、配偶者の社会保険適用という制度は、同性カップルのパートナーに適用されない(男女の場合、入籍していないいわゆる事実婚でも適用されます)。同性婚ないしはそれに類するパートナー制度を認めるべきだ」という主張があった場合、そう無邪気に「イエス!」と言うわけにもいかないかも……、と言いたかったからです。

 私は基本的に同性婚やそれに類するパートナー法制に賛成ですが、社会にたいしてより説得力を増すためには、こうした社会保険制度をはじめ既存制度との整合性なども含めて立論する必要があるかも。提案側も無邪気に(?)同性婚ステキと言うだけでなく、二枚腰・三枚腰のタフな立論力がこれから求められるのかも、と思ったしだいです。

 *同様の課題は、所得税の配偶者控除、いわゆる「103万円の壁」についても言えます。


 
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