新聞をそれなりに見ていると、「介護」「認知症」の記事はやはり多いです。今に始まったことではないでしょうが、超高齢社会で、大介護時代に突入しているのでしょう。高齢者の数に比して、その周辺に「家族」人口が多く取り巻いていた時代は、まだ介護負担が社会問題化することは少なかったですが(正確には家族のなかの「女性・嫁」に押しつけられて、社会へ析出してこないようにしていたのですが)、非婚や少子化のなかで、自分一人で一人の親を(場合によっては二人の親を)介護する事態も珍しくなく、それは男性による介護も例外ではありません。
先週日曜の読書欄の特集「ニュースの本棚」は、「息子介護の時代」に関する書籍の特集。執筆者は、1956年生まれ(57歳か)、諸橋泰樹さん(フェリス女学院大学教授、マスコミ学)。「一昨年、母を看取った」「約40年、母と二人暮らしだった」「男おひとりさまの自分」と書きます。
取り上げられた書籍を、ここでもご紹介しておきます。
鈴木宏康『息子介護』(全国コミュニティライフサポートセンター・1260円)
無職でシングルの息子が、認知症の母親を在宅で介護しつつ、地域のボランティグループに支えられながら解放されてゆく手記。
岡野雄一『ペコロスの母に会いに行く』(西日本新聞社・1260円)
89歳の母と62歳の息子。コミックエッセー。
平川克美『俺に似た人』(医学書院・1680円)
関係が希薄だった息子が父を介護していく日々。
上野千鶴子『男おひとりさま道』(文春文庫・590円)
介護や医療制度のガイドブック。
執筆者はこれらの本を紹介しながら、「介護は確執のあった親とのある種の和解ないし親への赦(ゆる)しと言い換えられるかもしれない」「死にゆく母を前に積年の恨みはほとんど氷解していた」「息子は初老になってやっとおとなになる」と述べています。
ところで、ゲイコミュニティが誇る文豪、伏見憲明さんも、さきごろご母堂を看取られましたが、これもまた「男おひとりさまの介護」。伏見さんのご経験を、「魔女を送るの記〜〜魔女の息子の介護日誌」としていつか拝読したいものです。
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