成年後見人の親族解任 入所者の財産管理「不適切」 宇都宮家裁

【朝日新聞(夕刊)2012.8.28】

 栃木の南西部にある知的障害者の入所施設で、入所者の財産が不適切に管理されていたとして、宇都宮家裁が成年後見人1人を解任、同様に後見人を勤めていた親族50人について財産管理の権限を弁護士に移した、との報道がありました。
 
 この施設では、入所者について親族が成年後見人になるようにしており、その後見人ら約50人が入所者の財産から1億5千万を集めて、その一部を禁じられている投機的な資産運用に使っていた、とのことです。


 成年後見人は、認知症高齢者や知的障害者など判断能力が十分でない人のために財産管理や契約などを担う代理人で、本人や親族などの申立てで家裁が選任する仕組み。過去の禁治産の制度を、高齢社会などを背景に2000年に改訂してリ・スタートしたものです。
 知的障害のため、自分の財産管理(障害年金やなにか財産はあったと思います)がうまくできない。といって、親族だから代わりになにをしてもいいという時代ではいまはありません。裁判所の手続きにのっとり、法的な代理人(後見人)としての立場を得ることが必要なのです。
 そして、あくまでも本人の人格を尊重し、サポートするのが制度趣旨で、後見人には毎年、家裁への報告義務もあり、場合によっては、今回のように家裁による解任ということもあるわけです。

 この事案では、50人の後見人たちがなぜ入所者(障害者)のお金を集めて投機に使ったのかまでは書かれていません(記事には、7千万を施設に寄付し、1400万は施設のエアコン付け替え費用にし、残りを投資信託の購入にあてた、とあり、ちょっとそのへん気になる事情があるようです……)。後見人を解任された75歳の男性(入所者の親御さんなのでしょう)は、「子どもの将来のためにしたが、制度をよく知らなかった」と述べています。
 成年後見を悪用したのか、制度を誤解しただけなのか、まだわかりませんが、実際、認知症の高齢者の財産を後見人(親族)が悪用したという報道も最近多く、はじめから銀行の財産信託などとリンクした制度も始まっています。
 これから老親が認知症などになった場合には、私たちもこの制度について、正確な理解をしておくことが大切かもしれません。

 ところで、この制度は、判断能力がなくなったあとで、親族などが申し立てて後見人になる制度ですが、自分の判断能力が衰えた場合はこの人に後見人になってもらいたい、とあらかじめ指名をし、かつどのような代理権を与えるのかを決めておける「任意後見」という制度があります。
 法的配偶者や子がいない私たち同性愛者の場合、高齢期の財産管理などについて、ぜひ知っておきたい制度の一つです。
 法的関係を主張できない同性パートナー(相方さん)や、親族ではないが信頼する友人などと、任意後見契約をすることもできます。



 『にじ色ライフプランニング入門』にも制度の解説を載せてあります。
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