文化放送の番組でお話をしました

ラジオの文化放送の朝の番組福井謙二グッモ二内、「朝いちテレフォン」のコーナーで、11月12日(水)、事務局長の永易がパープル・ハンズの活動やセクマイの老後等についてお話しました。
当日はあらかじめ作成しておいた原稿にもとづきお話しましたので、ここに録音にかえて、原稿をご紹介させていただきます。


Q 今、性的マイノリティの皆さんやカップルは、将来や老後について具体的にどのような悩みを抱えているのですか?

性的マイノリティの悩みでは、性的マイノリティの若者が学校でいじめられる、職場で知られていづらくなった、そもそも自分のことが自分自身でも認められないなど、いまでも多くの悩みがありますが、中年期や高齢期はそれに加え、おひとりさまだったり、法律上は認められていない同性のパートナーと暮らしていることで、保険や不動産などライフプランニングにかかわること、そして発病した、介護になった、認知症になった、亡くなったなど、万一時にはどうなるんだろうと、不安に思っています。世の中にあるライフプラン情報は、みんな標準家族ーー家族や子どもがあるのが前提になっていますので、私たちの実態に合わないのですね。まあ、おひとりさま問題は性的マイノリティに限らないですが……。
あと、発病して本人の意識がないとき、個人情報を盾に病院で同性パートナーが面会を拒まれることもあります。カミングアウトしている人も少ないので、秘密を抱えていっそう困難になることもありますね。

*性的マイノリティの高齢期については、セクシュアリティの秘密を抱えている、親族や地域社会と疎遠、引きこもりやメンタル不調、人脈少なく孤立しがち、離転職や非正規のため老後資産の形成ができず貧困、身体に処置や見た目と書類の性が違う(トランス)、HIV陽性(ゲイ)……が指摘されます。そうした特有の事情のある人びとに、既存のセクターが配慮ある対応ができるか、まだまだ不安点も少なくありません。ただ、耳で聞くだけだと誤解の可能性もあるので、放送では一般向けを考慮して、このへんをすこし薄めてお話しました。


Q 行政書士でもある永易さんは、法律家として皆さんをどのようにサポートしていますか?

私もゲイの一人として、同性婚その他の法律や社会制度が整うことを希望しますが、日本ではなかなか一気にはいかない。この番組のリスナーのみなさんがマイノリティの人権のために賛同してくれればかなり進むと思いますが(笑)。
それで、いまは自己決定が尊重され、自分の意思が書面などで表明されていれば、病院や銀行、役所もそれに従ってくれる時代なので、まずは勉強会などで現状の制度で利用できることや書面の知識を紹介しています。私は元来、ライター/編集者で、そうした著作もありますが、自分が資格をとって業務も提供しようと行政書士を取得し、現在そのお手伝いをすることもあります。基本、無理にカムアウトしなくてもできることを紹介しています。

Q やはり、法的に有効な書面だと、様々な場面で役立つそうですね?

任意後見契約は、自分が認知症などになったときに備えて、自分のキーパーソンとなって欲しい人などと結ぶ法律にもとづく制度です。同性婚制度のないなか、同性カップルで結ぶことで、二人の関係を公的に証明する副次的効果もあると思っています。実際、作成したあと急な発病で入院したゲイのかたがいましたが、看護師に緊急連絡先を聞かれ、パートナーのかたを指定すると、「肉親でないと」と言われたそうですが、後見人契約もしていると答えると納得してくれたそうです。そのかたは「書類を作っていなかったら引き下がっていた、法的な裏付けがあると自信がもてる」とおっしゃっていました。
もちろん、公正証書で遺言も作成していますので、自分にもしもの時には、自宅のマンションを肉親ではなく、ローンも負担してくれたパートナーに渡すことができます。

Q こうした取り組みが浸透し始めるひと昔前まで、性的マイノリティの方々は、老後をどう迎えていたのでしょうか?

まだ浸透しているかはわかりませんが…… 
私はいま48歳ですが、もっと上の世代は結婚が当然の時代だったので、やはりご結婚されて、配偶者やお子さんがいて、という老後のかたも多いですね。性的マイノリティとしての老後を考える必要はかならずしも少ない。私たちの世代から、切実になってきたと思います。もちろん、自分に正直にあとで離婚したりして、同性パートナーと婚姻がわりに養子縁組したなどのかたもいらっしゃいます。

Q パープルハンズという名前の由来を教えてください。

性的マイノリティのシンボルは、いろいろあります。もっとも有名なのは、レインボーフラッグ、虹色の旗ですが、紫色、パープルとかラベンダーも伝統的に性的マイノリティのシンボルカラーです。また、紫色の手形、パープルハンドという同性愛者差別に反対するシンボルマークがあり(由来を話すと長いので省略)、それを複数形にして、私たちの人生のために手をつなぎ合おう、という意味を込めました。

Q 永易さんが考える、誰もが暮らしやすい世の中とは、どのようなイメージでしょうか?

誰もが、というまえに、まず性的マイノリティが暮らしやすい社会として、ひとつ申し上げたいことがあります。
前の都知事の石原さんが2010年に、都庁で記者会見したとき同性愛者について、「どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」と発言したことは、いまも語りぐさになっています。一方、海外では最近、アップルCEOのティム・クック氏のカミングアウトが大きなニュースになりましたが、日本の政治家はじめ各界の指導的立場にある人、メディアで発言する機会のある人がそうした意味をきちんと理解されて、公の場やメディアでは発言するようにしてほしいですね。
スポーツ界もタブーが強い領域ですが、2020年の東京オリンピックごろにはオープンにしている選手もたくさん来日するでしょう。性的マイノリティへの認識を欠いた愚かな発言で、日本が世界の笑いものにならないでいただきたい。舛添都知事は、フランスはじめ国際情勢に強いので、その点は期待しています。
ということで、人間の存在を侮蔑や嘲笑の対象とする発言が聞かれない世の中は、すべての人の存在が尊重され、暮らしやすい社会だと、私は信じています。







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